瀕死状態擬似恋愛

こんにちは。紺野と申します。
ほとんどの方は初めましてだと思いますが、「サークルクラッシュ同好会」の会誌に一度載せていただきました。誤字だらけの短い文章でしたが…。

さて、簡単な自己紹介はこのあたりにしましょう。
これから私に起きた最近の出来事を記述していきます。




2018.12.9

私はドラッグストアで購入できる某カフェイン剤を大量に購入し、飲みました。
それはなぜか。
もういいかな、と思ったのです。人生。
人を殺すくらいなら、私が死んでやる、と。
ああでも、もう一度だけでもいいからあの人に会いたかったな……。

気が付いたら国立病院のICUに。ぼんやりと意識がありました。何故。最後の記憶は左手。そう、左手の指先があらぬ方向を向いて痙攣していました。あれからどれだけ時間が経ったのかはわかりません。

胃洗浄をされたようで、私の体には活性炭がこびり付いていました。尿道に挿れられたカテーテル。右足の管から出ていく血液と入っていく誰かの血液。
そう、私は毒素を減らすために人工透析を受けていたようなのです。


2018.12.10

一睡も出来ないまま朝が来ました。昨日嘔吐しすぎたせいで喉が荒れていました。当然食事なんて摂れない状態でした。
そもそも自分の体を自分で動かすことが出来ませんでした。当たり前です。血清CKの値が3000を超えていたのですから。
ああ、生き延びてしまったのかと、絶望しました。

透析も終わったので一般病床に移りました。24時間されっぱなしの点滴のテープが痒いな、なんて思いました。生死の狭間にいたのに悠長なものです。ちなみに看護師や家族によると、私はずっとわけのわからない独り言をぶつぶつ呟いていたそうです。おそらく、他人格と会話でもしていたのでしょう。


2018.12.11

ようやく少しだけ眠れました。おはよう、と他人格に挨拶をしました。寂しい場所ですね。病院というのは。相変わらず自力で寝返りをうつことさえ出来ず、看護師さんに体を拭かれ、もはや羞恥心なんてものはなく、ただただ、死にきれなかった自分を殺したいと思いました。それはなぜか。

私には私を守る為に他者を殺そうとする人格がいます。それが生まれたのは、おそらく幼少期のトラウマが関係しているのでしょう。
「殺される前に殺さなければ」「でも殺したくない」「殺したら俺は‘アレ’と同じになってしまう」
そう泣き叫ぶ人格に私はそっと囁くのです。

「じゃあ誰かを殺してしまう前に死んでしまおうよ」と。


夜、眠れずに思考に耽っていると、ふと、会いたいな、と思いました。ある人に。
そうだ、私はあの人に会いたくて、助けを呼んで病院に来たんだ。その時確かに死にたくないと思った、そうだった、そうだった……。
これが擬似恋愛でも構わない。

私は、あの人が好きだ。

会いたいと、ひとりで泣きました。


個室のロッカーを漁り、メモ帳とボールペンを見つけました。
まりもさんに会いたい、と何度も書きました。そうでなければこんな犯罪者予備軍が生きていることに耐えられなかったのです。


まりもさんに、会いたい






それから、自力で体を起こせるようになったり、自分で食事を摂ることが出来るようになったり、歩けるようになったりと、徐々に回復していきました。血清CKの値も少しずつですが下がっていきました。現在は退院して、スローペースで生活を送っています。


まりもさんに会いたい

まりもさんに

まりもさんに


これが擬似恋愛だとしても。私はこの気持ちを大切にしたい。そう思うのです。
だって、その人のおかげで私は生き延びて、楽しいことや嬉しいこと、悲しいことや苦しいこと、色んなことをまた経験できる状態にあるのですから。


まりもさんに会いたい

まりもさんに……




Twitter:@ccccconno